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Madam.Kayoのひとり言


by madamkayo
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「CHIPSの思い出」 7/25

7. ミーティング(おかず君の家の巻)

元気なChipsの仲間も冬の寒い時は、いつもいつも畑コミの駐車場でミーティングと言うわけに行かなかったようで、おかず君の家の部屋を使わせてもらう時が何度かあった。

私も実は12歳まで団地の4階で育ったので、おかず君の家は懐かしい感じがした。

ある冬の日、お邪魔した時の事だった。野郎3人ぞろぞろと入り、私も続けてお邪魔させてもらった。その時お気に入りのパンプスと茶色のスカートを履いていたから、会社の帰りの練習の後だったかもしれない。

部屋に入るとしばらくして、玄関の方から、にわかに賑やかな声がして来た。「あら~!女の子の靴~♪」と私には聞こえた。そして、おかず君の部屋におかず君のお母さんがお茶を持って入ってきた。
私は床に座っていたので、とっさに入ってこられたお母さんを見上げる感じで、「お邪魔してます」と途中まで言いかけた時だった。「まぁ!可愛い♪」と笑顔を浮かべながら、またまた賑やかにおっしゃった。私は学生時代はイモ姉ちゃん、そして働き出してもどっか間が抜けているOLだったから、そんな風にそんな事を言われた事がなく、嬉しいと言うよりびっくりした。
ちょっと照れてどうしようと思い、横のメンバーの3人を見たら、仕事や練習で疲れているのか、はたまた何かを考えているのか、いつもの冗談も出ず、シラ~とした雰囲気たった。『お母さん、おやめなすって!空気をさっしてぇ・・』と思っていたが、お母さんはしばらく私の顔をまじまじ見てニコニコしてらっしゃった。
一見、ナンパのおかず君も本当は硬派で、女の子を家にあまり連れて来た事がなかったのかもしれない。『もしかしたら、彼女と間違えているんじゃないかしら?』と一抹の不安があったけれども、いっぺんで明るいおかず君のお母さんが好きになった。

夏にもお邪魔した事があった。いつまでも帰らない客人に、夜、素麺と切ったオクラを出して下さった。私はオクラをあまり食べた事がなく、この星型のような綺麗な野菜は何かしら?と思ってご馳走になった。


その2~3年後に私はあっと言う間に結婚してしまい、後に相手の両親と同居を始めた。
私は、ただの飯炊き女になっていた。赤ん坊だった子供は隣の小姑の家に連れていかれ、長男はしばらくの間、小姑をお母さんと呼び、私をお手伝いさんとでも思っていたらしい。酒乱ぎみの舅の為に早く夕飯を作らなければならなかった。辛い時は2階に駆け上り、彼らに当時もらったカシオペアのテープをかけて、声を押し殺して泣いていた。そんな事をしていると、またサボっているのかと思われ姑に「かよこー!」と下から呼ばれた。優しい彼らは「かよちゃん」とチャン付けだったなぁと思うと、また涙が止まらなくなった。


オクラの季節になると私は好んで食卓に出した。切ると星型みたいで、かわいくて好きだった。その頃の私はオクラを切る時、必ずと言っていいほど、おかず君のお母さんを思い出した。『おかず君のお母さんだったら、こんな私でももう少し大切にしてくれたかもしれない・・でも、おかず君のお母さんと?結婚するわけにもいかないし・・』と思いながら涙をこらて、オクラを切った。
by madamkayo | 2005-07-19 14:37 | CHIPSの思い出