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Madam.Kayoのひとり言


by madamkayo
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「CHIPSの思い出」 14/25

14. どいつもこいつも・すっとこどっこい

おかず君とはChipsにいる間、一番一緒に時間を過ごしたメンバーかもしれない。送り迎えの時はもちろん、畑コミで早く着いて他の2人のメンバーを待っている時も音楽室のピアノを私が弾いたりして待っていた事もあった。いつもは人前で恥ずかしいのであまり弾く方ではないけれども、おかず君とは波長が合い気を遣わず、家にいる時のようにリラックスしてクラシックなども弾いて待ったものだ。

だからこんな時、サザンの原坊のようにヘラヘラ笑顔も消え様子が違う私を見て、さっと気が付きオベンチャラでも言ってくれるのだが、どうした事かセッティングの時間なのにいない・・?
後でわかった事だが、会社の憧れの女史をお招きして、ご接待していたらしい。・・ムムム、お主まで・・!


私はこの日は、ファンだったカシオペアのギターリスト野呂一生さんのファッションを真似して、似たようなパンツを履いてきた。
そうしたらまず圭ジョン君に「もうちょっと上を黄色とか派手な物を着た方が良かったなぁ」と言われた。
圭ジョン君は海からそのまま上がってきたような格好だった。黄色のTシャツにオレンジの短パンと言うか海パンで、しかも放送ギリギリ位の短いものだった。
おかず君にいたっては、真っ赤なツナギでまるでポストのようだった。しかも作業ズックを履き本番ではヘルメットまでかぶる勢いだ。会社の代表として勤めあげるらしい。
その原色のふたりにはとうていかなわない。

そう言えば、私達は当日の洋服の事は全く打ち合わせていなかった。てんでに好き勝手な格好をしてきたわけだ。誰もが自分が一番格好いいと思っていたかもしれない。

「かよちゃん、なんならこの前着ていたミニスカートを履いてくればよかったんだよ。」とおかず君に言われて「神聖なるコンサートなのに何て事を言うの」と思った。上のシャツはおかず君が言う練習の時着ていたミニスカートと対のものだった。このパンツと似合う物がなくてしかたなくその上だけを合わせて着てきた。

以前、おかず君は「女の子はどんなブスでも着ている物が少ないほど可愛く見えるんだよなぁー!ヒャ~ヒャ~」なんて笑って言っていた事があった。どうりで、圭ジョン君がプールの監視員のバイトの仕事をしているからとプールにみんなと一緒に遊びに行った時、妙に優しかったような気がする。

・・・どいつもこいつも・すっとこどっこいだ!!

私は、舞台にひとり取り残され、オタオタとセッティングを始めた。どうした事だろう、ポリ6を支える手がワナワナとふるえ始めた。こんな事は22歳の片田舎のイモ娘には初めての事だった。トランク・ボーン事件で、圭ジョン君の片手がふるえていたのと同じ、カタカタでもないブルブルでもないワナワナだった。南の島の続きは未だ聞えてきていた。
私は自分で自分にエールをおくった。「頑張れ!かよこ!あなたは、今日はボーイハントに来たんじゃないんだから。神聖なコンサートに出る為ここまで頑張ったんでしょ!頑張れ、頑張れ」と思うように運ばない手でセッティングをした。


でもどうしてこの時私はこんな精神状態になってしまったんだろう。彼らに彼女がいようが、何しようが気にしていなかったのに。

去年、昔話に花が咲いた時、精神分析医でもあるおかず氏に分析をお願いした。分析結果は「負けず嫌い」だった。
私が?トランプの7並べで負けても、「ま、いっか」と思うのに?
でも言われてみればそうかもしれない。

私はコンサートの後、自分でも今思うと笑ってしまうが、同じような金魚スカートを買って街を闊歩した。するとどうだろう・・・残暑の風にそよそよとなびき、まるで金魚の尾ひれのようだった。
そして、思わぬ威力を発揮した。滅多に男の人に声をかけられた事がないのに、それを履いていた時、奇跡的に声をかけられた。
会社の帰り新検見川の駅からバス停に向かい、遅れそうなので走っている時にそちらも走ってきて「お、お茶でもどうですか?」と言われたが「急いでいるので」と言い迷わず「鉄工団地行き」のバスを選んだ。このバスはさつきが丘団地行きと違って逃すと30分~40分待たねばならない。スカートがヒラヒラするのもの忘れて凄い格好で走っていたのだろう。バスに乗ってヤレヤレと思い「アレ?さっきの人カッコ良かった。惜しいことをしたかも?」と思った私も、彼らと同じ負けず劣らず「すっとこどっこい」かもしれない。

(いんご☆くん、おかずくん、圭ジョンくん、ごめんなさいネ)
by madamkayo | 2005-07-12 14:30 | CHIPSの思い出