Madam.Kayoのひとり言


by madamkayo
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「CHIPSの思い出」 16/25

16. あるファンの巻・その1

当時、圭ジョンくんのファンがいた。何を隠そう、実家の母である。

ある練習の日、自分の部屋で出かける準備をしていると「ひゃ~~!かよこっ!玄関に背の高い、ほれ、芸能人で何て言ったっけ・・・草か・・?」「草刈正雄?」「そうそう、そんな風な、顔がいい男の子が来て『かよちゃん、いますか?』って言ってるよ!」と、その「かよちゃん、いますか?」の所だけ、スットンキョな声をマネして教えてくれた。「あっ、今日は圭三くんが迎えてに来てくれたのネ」と言って玄関に行くと、ホワイトアスパラガスが伸びきったような圭三くんが立っていた。なんともこの狭い薄暗い玄関には不釣合いの、当時ピカピカのイケメンの圭三くんだ。母は東京育ちで、外国人らしい顔を見たのは進駐軍以来であるからびっくりしたのは無理もない。

それから大変である。何かのたびにその話しをする。母は同じ話を壊れたレコードのように何度もするのが癖である。「ひゃ~、びっくりしたわ~!あの子いい顔してるよねぇ!あの俳優の草か?何だっけ?」「草刈正雄でしょ?」と私は必ずフォローを入れなければならない。

母は、巣鴨の金物屋の長女として育ち、歳の離れた何人もいる下の兄弟をおんぶして縄跳びしたり店番をしたりして育った苦労人である。父は女中が子供達にひとりづつ付くようなお坊ちゃま育ちで、父のお父様にいたっては妾がわかっているだけで3号さんまでいて、伝説のおじい様だ。父は1年早く首席で大学に行くような秀才で、その頭脳は私の弟にみんな受け継がれ、気が多い血筋がどうも私に入ってしまったようである。その話しをすると長くなるので何かの機会にまた触れたいと思うが、その物静かな父と下町育ちの母が一緒になったのが不思議な位だ。
父方の兄弟はみんな色白で細く、目などのパーツが大きい。そして声帯が小さいのかスットンキョな声である。私もそこが似てしまったようで、未だに悩みだ。父のすぐ下の弟で通称『しげちゃんのおじさん』と言う、色白で細くスットンキョな声で「かよちゃ~ん」と呼ぶおじさんがいる。イトコがしげちゃんと言うのだが、そのおじさんとどうも私は圭ジョン君がダブる。何だか似ている・・・

また母の自慢は唯一上だったお兄さん「アンちゃん」の事だ。終戦後、歌手の伴奏バンドのトロンボーンを演奏していて、家族を支えていたそうである。ある日アンちゃんが帰って来て「凄い子供の歌手が現れた!あれは売れるぞ~」と言ったそうである。それが当時の『美空ひばり』である。でもそのお兄さんは20代で無理がたたったのか他界してしまった。その話しを、もう100回位聞いた。
だから、私が音楽をやる事に付いては反対はしなかった。むしろ賛成していて、バンドの話しをするときまってその「アンちゃん」の話になってしまう。
私は、美空ひばりのバックバンドじゃないのに。。。

ある日突然母が変な事を言い出した。「かよこ、何で圭三くんと付き合わないの?」ときたからびっくりした。「あのね~、お母さん、彼らとは15・16才のダサい頃から知っているし、何て言っても音楽の仲間なんだよ。それに、それぞれ付き合っている人がいるし」と言ったら「そうかぁ・・」と何だか不服そうにした。この親は、そんなにしてまで圭ジョンくんに会いたいのだろうか?それとも何を狙っているのだろうか?まさか堀の深い顔立ちの孫であろうか・・?
「残暑お見舞いコンサート」の時は、隣町に住む妹夫婦を呼んで母は張り切って来たのは言うまでもない。妹であるおばさんとは良く「美空ひばりのコンサート」に行っていた。何度も言うが、私達は美空ひばりのバックバンドではない。


圭ジョン君はご存知の通り『行動派』であり、ある面『感動派』であり、見かけと違って『心配症』である。
それが如実にわかったのが、私が父を亡くした時だった。みんな心配してそれぞれ飛んで来てくれた。女の子の友達よりもみんな早かった。いんご君はちゃんと正装して濃紺のブレザーと紺と緑色の縞模様の落ち着いたネクタイをして来てくれた。私は母に似て単細胞であるから、今の状況を一時でも忘れたい事もあり、彼らが来たのが嬉しくていそいそとお茶を出したりした。だから「思ったより元気でびっくりしたよ」といんご君などには言われた。
圭ジョン君にいたってはサスガ行動派である。聞いた時点で飛んで来てくれたから、格好などはお構いなしだ。「かよちゃん、大丈夫か?」と言ってくれた。私はまたしても現実逃避からか笑顔で「大丈夫だよ」と答えた。温かいココアを出すと圭ジョンくんは「ココアかぁ・・!ココアとはなぁ・・!」と感激のスイッチが入ったりした。今一、この頃は彼のスイッチの入るタイミングがわからなかった。

こんな心配症の所もあるから、昨年、新妻優子ちゃんに旦那様の扱い方をご伝授しておいた。うちの息子とそんなに歳がかわらない優子ちゃんが「あの人モテて心配です」って言うので、私もお酒が入った勢いで「な~に言ってるのぉ!優子ちゃんの方が若くて綺麗なのよ!ほら、あのお腹見てみなさいよ!終わってるって!たまには心配させて、先生から『優子ちゃん可愛いね、お茶でも行こう』と何度も誘われてるの、って言ってごらん。すっっご~~っく心配するからぁ~~!」ともろおばさん的に言っていると、さっきまで住宅ローンの親密な話をおかず君としていた圭ジョン君から「かよちゃ~ん、勘弁してくれよぉ~!俺達新婚なんだからぁーー!!!」と言われてしまった。
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by madamkayo | 2005-07-10 14:28 | CHIPSの思い出