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Madam.Kayoのひとり言


by madamkayo
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「CHIPSの思い出」 18/25

18. 残暑見舞いコンサート・いよいよの巻

さぁ!いよいよ「第3回残暑見舞いコンサート」の本番が開演した。舞台には、実行委員のハリ村君やジョン藤さん達が用意してくれた「残暑見舞いコンサート」の手書きの垂れ幕がかかっていた。客席はほぼ9割以上はうめられているようだった。

今回のコンサートの出場バンドは全部で6バンド位だった。きっと実行委員の方達がどこかで声をかけて募ったのであろう。高校生バンドから私達の世代位までの年代層のバンドが集まったようだ。演奏する曲は、当時流行りのフュージョンからハードロックまでさまざまだった。私達CHIPSの順番は確か2番目だった。大御所BRAINSは最後の方だったと記憶している。私達の実力(と言ってもないが)から言って打倒であり最良な順番だったと思う。

1番目のバンドがそつなく演奏をこなし終わったようだ。楽器を片付け、私達の「CHIPS」の力強い赤い文字の垂れ幕も飾られ始めた。

いよいよだっ!!・・・胸の鼓動がドキドキ鳴り始めた。

私達CHIPSの面々は、客席から向かって左側の、でも客席からは見えない薄暗がりの舞台の袖に集まっていた。
誰が促すでもなく、小さな円陣を組んで向かい合っていた。

大将の圭ジョン君が、いつになく引き締まった顔つきで「さぁ~、行くぞぉー!」と小さくでもゆっくりお腹から出すような声で言いながら、少しかがんで寄せるように顔を近づけ、私達の円陣の中央にこねる様に片手を出した。
すると、いつもと違う真面目な顔つきで口を一文字にしたおかず君がその上にパンっと片手を重ねた。
すぐに、普段見た事もない恐いくらい真剣な目つきのいんご君もパンっと手を重ねた。
彼らはライブの前にいつもこうしていたのだろう。
私は初めてだったので、慌ててそっと手を出して重ねた。
するとすぐにメンバー達があいている方の手をまたパンパンと重ね始めるので、私は最後の上になりたくないので急いで間に入れてもらった。

私の鼓動は早くなり緊張は頂点になっていた。引き締まった空気がその重ねた手に集約されているようだった。
でも、彼ら3人の温かさを手から感じる事ができて、なんともいえない幸せな瞬間だった。

彼らは幾度となく出演した事がある『ライブ経験者』だ。私は舞台と言ってもピアノの発表会位で全く違う。自分が間違えてしまったら、申し訳ない。それに同級生や仲間や家族も見に来てくれている。

私はそれぞれ下になった手をギュッとにぎりしめ「CHIPSのメンバー達、私に力を貸してちょーだい!」と祈るように頭の中でつぶやいた。すると彼らの体温からパワーを感じる事ができたような気がした。

大将圭ジョン君が、今度は、はっきり大きく掛け声をあげた。
「さぁー!行くぞぉーー!!!」
おかず君、いんご君、そして私で「おぉー!!!」と言って手を勢い良く離し、舞台に向かった。
by madamkayo | 2005-07-08 14:26 | CHIPSの思い出